『暗号は解読された般若心経』を学んでみよう!わたしは宇宙 ②
『般若心経』は、「空」(くう)ということがテーマに書かれています。この「空」ということ について、これまでは、その字の通り「空っぽ」という意味で解説した本が多かったので す。しかし岩根先生は、「空」を「宇宙の理念」という確かな実体として解釈して解説されました。「宇宙の理念」とはむずかしい言葉ですね。「宇宙の生命活動」「宇宙の根源」と言い換えてもやはりむずかしいですね。これから先を読んでいくと少しずつわかってきますので、ここは全ての元になっているものであるということで、とにかく読み進めていくことにしましょう。
『暗号は解読された 般若心経』によって、『般若心経』は、わたしたちがどう生きていったらよいのかを知るための、本当に役に立つお経になったのです。つまり、正しい世界観がはっきりと書いてあるからです。
もともと「お経」というのは、このように人生を正しく幸せに生きていくための本なのです。この『般若心経』が本当にわかると、自分がどうしてこの世に生まれてきて、何をしたら良いのかがわかってきます。そうすると、勉強、スポーツ、趣味、遊びなど、何をやってもうまく楽しくできるようになるんです。
また、少しつらいことや苦しいことがあっても、乗り越えていく勇気がわいてくるのです。ですから、あなたにもぜひ読んでほしいのです。 『般若心経』は、ドラマのような形で書かれていますが、そのドラマの背景について次のように書いてあります。
ある時お釈迦様は、王 舎 城(おうしゃじょう)の霊 鷲 山(りょうじゅせん)で、多くのお弟子さんたちと深い瞑想に入っておられた。
そんな中で、お釈迦様の一番弟子と言われている舎利子(以下、シャーリプトラ)は、観自在菩薩(以下 観音様)に「お釈迦様のような深い瞑想に入るために、 どのように学んだらよろしいのでしょうか?」とたずねた。
*王舎城(おうしやじよう) : お釈迦様がいた時代の、インドにあった国 の一つ。
*霊鷲山(りようじゆせん) : お釈迦様がここで、人々にたくさんのお話をしたと言われている。
シャーリプトラから、このように質問された観自在菩薩(観音様)は、舎利子に丁寧に 答えていきます。その観音様のシャーリプトラに対する答えを本にまとめたものが『般若 心経』なんですね。
観音様というのは、あなたたちのことをいつも、何か困ったことがあったら助けてあげよう、危ないことがあったら助けてあげようと、いつも考えているんですね。
けれど、「観音様って本当にいるの?」と思うかもしれませんね。実は観音様はいろん な姿をして、いつもあなたたちの前に表われているのです。そう、あなたのためにおいしいご飯を作ってくれるお母さん、一所懸命働くお父さんも、勉強を教えてくれる学校の先生も、みんな観音様だと言えるのです。
ところで、観音様は、正式な名称を観世音菩薩ということが多いのですが、玄奘三蔵は 観自在菩薩と漢語に翻訳しました。観ること自在の菩薩ということですね。独りよがりの 考え方に縛られずに、自在に観ることが出来る観自在です。「見る」というと、この目で 見ることですが、「観る」というと、心の目で観るという意味になります。「見る」は、形に表われたものしか見られませんが、「観る」は、かたちの奥にある真実まで見通すことが出来るのです。
70年以上にわたって、世界中で愛読されている『星の王子さま』という童話に、星の王子さまとキツネの対話があります。相手と仲よくなるということで悩んでいる王子さまに、
キツネは、「心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。かんじんなこと は、目に見えないんだよ。」と教えます。
観自在菩薩は、心で見ることができるのです。心の目で見るというときは、「観る」という字を使います。観ること自在な観音様は、心でものごとを見るから見えないものが見えるのです。
わたしたちは、狭い世界からものごとを観て、本当のことがわからなくなってしまう事が多いのです。ものごとを自在に観るというのは、とても大変なことなのです。大きな世界から真実を見通している観音様が、秀才のシャーリプトラに講義をした記録である『般若心経』を、皆さんと一緒に読んでいきましょう。
つづく