『暗号は解読された般若心経』を学んでみよう!わたしは宇宙 ③
第一節 仏説摩訶般若波羅蜜多心経
(ぶっせつまかはんにゃはらみったしんぎょう)
般若心経は、ドラマのような形で書かれていると言いましたね。第一節は、そのドラマのタイトルが書いてあります。『仏説般若波羅蜜多心経』というタイトルですね。漢字ばかり並んでいて、それだけで読む気がなくなってしまうかもしれません。漢文といって、中国の言葉を使った文章ですから、日本人のわたしたちがむずかしく感じるのも無理はありません。
このタイトルの「魔訶般若波羅蜜多」の部分は、般若心経が作られたインドの古い言葉である、サンスクリット語、あるいはパーリ語の音「マハー・パンニャー・パーラミッタ」を漢字の音に置き換えたものです。ですから、ますますわけがわからなくなってしまいました。
そこで、日本語になおした言葉でこれを読んでみましょう。
お釈迦様の説いた、偉大なる宇宙の真理とつながるための教 えの心髄
「仏説」とは、「仏陀の説いた」という意味です。仏陀とは自覚した人、つまり本当の自分を知っている人ということで、お釈迦様のことを言っています。本当の自分を知るということは、とても大切なことです。本当の自分を知らないと、どのように生きていいかわからなくなって、とても苦しむことになるのです。般若心経を勉強すると、本当の自分を知ることが出来ます。そして、人生を明るく楽しく過ごすことが出来て、たくさんの人に役立つ人になれるのです。このことは、あとでお話ししましょう。
ということで、ここは「お釈迦様が説いた魔訶般若波羅蜜多心経」ということですね。「魔訶」は、偉大なといった意味です。すごく不思議なことを「マカ不思議」なんて言うでしょ。すごく大きいこと、すぐれたことを表す言葉です。
般若心経は、昔のインドで使われていたサンスクリット語で書かれました。いま日本に伝わって読まれているのは、玄奘三蔵という中国のお坊さんが、漢語に翻訳したものです。玄奘三蔵という人は、『西遊記』という中国の小説のモデルになった偉いお坊さんです。そうです、孫悟空が大活躍するあの物語ですね。『西遊記』は、玄奘三蔵をモデルにした三蔵法師が、インドに経典を求めて旅をするお話しですが、三蔵法師を観音様のような人として描いています。きっと、観音様のように大きな温かい心をもった人だったのだと思います。
「般若」とは、知恵という意味ですが、宇宙の全部のことがわかる、あるいは、本当の自分をわかるのが知恵です。知恵に対して、物事を分けることでわかったことを知識と言います。知恵と知識の両方が必要なのです。般若というと怖い顔の般若のお面を思い出すかもしれませんが、ここでは別に考えて下さい。
「波羅蜜多」とは、普通わたしたちが考えているよりも大きな世界のことです。この大きな世界、宇宙と言ってもいいんですけれど、この大きな宇宙をを背景にものごとを考える知恵が、「般若波羅蜜多」ということです。このことは、この本を読んでいくうちに、少しずつわかってもらえると思います。
そして「心経」というのは、般若波羅蜜多の心髄(エッセンス)を説いた教えということですね。心臓のように大切な教えと言ってもよいと思います。
「経」の元々の意味は、タテイトということです。
織物を織るには、まずタテイトを機械にセットしておきます。あとはタテイトに沿ってヨコイトを一本一本織り込んでいけば、織物が出来上っていきますよね。それにたとえて、宇宙の秩序にのっとった人生を歩むための道すじを「経」と言っているのです。
ちなみに、ヨコイトは「緯」と書きます。地球上の位置を示すにも、東経○度、北緯○度と縦の位置を経、横の位置を緯と言っていますね。
タイトルを読んだだけでも、とても重要な本であることがわかるでしょ。
つづく